第10回

今日本にはたくさんの女性ヴォーカリストがいますね。
宇多田ヒカル、浜崎あゆみ、aiko、椎名林檎、矢井田瞳、CHARA、UA、Bonnie Pink、
ラブサイケデリコ、m-flo・・・。
皆さんも好きなのはあるでしょ、この中に1人ぐらいは。
椎名林檎ってのはやっぱりすごいんだよな。
メディアなんかでまず取り上げるのってあの過剰なほどの「女」的表現なんだろうけど、実はそれって
椎名林檎の魅力の1つでしかないんだと思う。そもそもデビュー曲「幸福論」ってそんなでもなかった感じだし。
彼女のそのイメージが強烈に植えついてしまった決定打として「歌舞伎町の女王」のインパクトはすごいんだろうな。
でも椎名林檎の大きな魅力であり突出している個性は、誰も考えつかない発想により普通選択しないであろう
その言葉だと思う。誰にでもありえるであろう日常の風景を、彼女特有の言葉のみでドラマチックに、
スリリングに変えてしまう。
「現代のシド・ヴィシャスに手錠掛けられるのは只あたしだけ」
こんな表現する人いるかい?
徹夜明けでしんどい時に街を歩けば
「頬をさす朝の山手通り/煙草の空き箱を捨てる」とかいっちゃうんですよ。そらかっこいいっすよ。
音的にはグランジ以降の影響が多少強いんでしょうが、それだけじゃない。スカ、ジャズ、歌謡曲、テクノ、
たくさんの音を知っている人だと思います。これがある種彼女の説得力を手助けしてるといっていい。
基本的に「無罪」は彼女の歌や言葉が、「勝訴」は彼女の多様な音楽的志向が、どちらかというと
前面に出ていると思う。「勝訴」の方がやや耳障りは荒いと思う(単にノイジーってことだけじゃなくてね)。
好き嫌いは色々でしょうが。俺はどちらも好きですよ。(「無罪」好きのが多い事は想像がつくけどね)
宇多田ヒカル、浜崎あゆみってのは完全に社会現象化してるし。この辺のCDは買いませんよ,
どう考えても俺には必要がないという判断。当然ですね。10代であんだけ稼ぐアメリカンスクール出身の
自由奔放な女のませたラブソングがいったいどれだけの人の共感を呼べるのか、不思議だわ。
イメージ、宇多田=ラブソングの女王、浜崎あゆみ=哀しみの女戦士、って感じ。
苦労を知らない天才宇多田はその伸びやかで自由度の高いヴォーカルスタイルで日本の音楽業界に
新風を巻き起こした。古典的アーティスト、努力家、みんなのあゆは、めぐまれない庶民女性を味方につけ、
マーケットを席巻。別に歌が上手いとか下手とか、なんオクターブ出るとか、そんなん関係ないけどね。
そんな風に音楽聞く人がいるんだって、しかも結構いるってのがとても痛いよ、ボクは。
aikoってのはえれぇ売れてるけど、いやこれは予想通りよ。深夜にこっそりPV流れてたの見た時の衝撃は、
今でも覚えてる。さっきも言ったけど歌が上手いとかってのはまぁおいといて、あのメロディーの奔放さにやられる。
べつに音符が上下するとかそういうことじゃなくて(それもすごいんですけど)、1曲の中でだけじゃなくて
1フレーズの中ですらいろんな表情を見せるそのメロディーの自由度の高さは圧巻です。「オレは自由だ!」って
叫ぶよりもメロディーが奔放な方がよほど自由だと思う。歌詞とかは結構生々しくてエグイ感じではあると思いますが、
あれが女性の共感を呼ぶんでしょうかね。
ラブサイケデリコ、いやもういいから、日本語でそれやるってのが新しかったのかも知れないですけど。
欧米人がやったものの焼き直しならもう勘弁です。自分達の言葉と音楽で表現してください。
矢井田瞳、涙が出そうです。林檎は自分の身を削るようにして言葉を紡ぎます。そして聞く人の心を突き刺します。
ヤイコ、彼女はどうなのでしょう。
彼女には強力に耳に残すポップスが書けるという殺傷力、歌唱力がある。ただ心の真ん中には刺さらない。
何も残らない。彼女の本音は見えない、作曲中に仮で「ダリーダリー」と歌っていた部分をそのまま歌詞として
採用したというエピソードを語っている。曲の中に「誰もいません」といっているのと同じ。
歌詞で「あなた」というところで客席を指差す。本当に身を削り、誰かを想って書いた曲ならそんなことはできない。
そう、たとえ哀しい歌を歌っても「哀しそう」を伝えたいのではなく、「哀しそうに歌うヤイコ」を見て欲しいのだと
思う。彼女の曲がパッと聞きは良くて、心に残らないことと無関係ではないだろう。これ以上は言うまい。
うーん、上に挙げた以外でも女性ヴォーカリストについて他にもいろいろ思うことはありますが、
この辺でやめておきます。今回は勝手に女性ヴォーカル特集ということにしてお送りしています、
記念すべき第10回のキングオブミュージックです。
今回紹介するのは「EGO-WRAPPIN'(エゴラッピン)」です。
大阪出身の2人組、ヨシエッピンとモリラッピン。聞いたことある人はいるのかな。ちょい前に「色彩のブルース」
ってミニアルバムで結構話題になって、今回のはメジャー1枚目のアルバムかな?(ちょっと勉強不足…)
タイトルは「満ち汐のロマンス」、面白いよこれ。絶対に聞いてみて欲しい。セガ海なんかは絶対にはまる。
局長も喜んでくれるかな。副長はいつもどうり頭からけなしてくるでしょうね。massaもいつもどおり、
耳にすらしようとしないでしょうね。でも1回ぐらい聞いてみてね、結構今話題だし、売れてるし。
音はね、ひと言で言いましょう・・・・ジャズ歌謡です。
ちょっとまって、「キカネェでいいや」とかいわないで、最後までつきあって。マジいいんですって。
そのムードとかすごいんだから、もう場末のキャバレー。歌詞とか、雰囲気出すためだけだったりする。
でもかっこいいんだよ。演奏も雰囲気も、歌も。もう和田アキコビックリって感じのパワフルヴォイス。
ダサくないんだよ、超強力、フンイキでまくりの女性ボーカル!その艶っぽいヴォイスにメロメロ!
でもジャズシンガーではない、まさにポップミュージシャンのそれ。ジャズ的要素だけじゃなくて、
いろんな要素がある。だからかっこいいし、面白い!
なんか最近のルパンV世のスペシャルとかでも、ジャジーなBGMとかあるじゃん。
あんな感じもありつつ、当然ジャズといえば神宮寺的な雰囲気もあります。
でも基本にあるのはポップスだから、だからかっこいいんです。(レコード屋でも別にジャズの所において
あるわけじゃないから)完全にジャズじゃない。完全に歌謡曲じゃない。完全にソウルミュージックであるということ。
ロッキンであるということ、そして本人達は目いっぱい演奏を楽しんでいるということが、アルバムからビシバシ
伝わってくる。そう!合言葉は「スゥイングしよう!!」だ。ノリノリからムーディーなものまで、気持ちよすぎです!
ジャズ、ブルース、ソウル、こういった日本人にはあまりなじみの無い音楽を「和」的なエッセンスにより、
完全に自分達の言葉として表現している。また1つアートが生まれた瞬間だ。
ウッドベースにピアノにハモンドオルガンにサックスフォンにトランペットにトロンボーンにバイオリンに・・・、
全てが最高級に混ざり合う、しのぎを削りあう。
響く響く、ハートに、脳に、カラダ全体に。最近これ聞きまくってる、朝っぱらからノリノリでスゥイングしてます。
歌詞とかはもう関係ないから、聞きまくったって一向に覚えやしねぇ。
そう、意味?感情?そんなもんこの音楽の前ではナンセンス!
感情や想いを楽曲で表現するという、スタンダードなミュージシャンではない。この音楽から伝わってくるのは
世界観、情景、温度。明らかに日常とはかけ離れた情景を圧倒的な音楽の力で目の前に持ってこられる。
音楽の力ってやつはまだすごいぞ、マジで。
”涙を酒で割って飲みほしてもナンセンス ただの催眠術 いかす魔術
 右手差し出しても おあずけなの晩餐 煮えきったメカニズム 詳しく調べたいの
 Ahサイコアナルシス!
 遠のいてく意識/右から左へララバイ/遠のいてく意識に溺れる/コバルト色の夢見るアッパーな夜/
 正三角形の快楽 挑発 タブー ノスタルジアーッ!”   album 満ち汐のロマンス  #3「サイコアナルシス」より
↑ね、歌詞バカでいいでしょ?
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