第13回
バンプオブチキンのメジャー3枚目のシングル『ハルジオン』が破格にいい。何がいいって?そりゃぁ聞いてみりゃ誰だって分かると思う。さぁみんなで聞いてみよう。
前作『天体観測』により予想以上のブレイクを果たしたバンプの次の曲、一体どんな曲でくるのかという期待に見事に答えたといえると思う。音楽的にも詞世界的にも前作を更に深く掘り下げたような楽曲だと思う。アレだけのブレイクの後だけに、全く違う曲によって(例えばスローな曲とか)こんな曲もできまっせ、という新展開を見せる事もありだったかもしれない。しかし彼らは変化よりも深化を示して見せた。
イントロ、『天体観測』のような大袈裟でドラマチックな始まりではなく、藤原の息を吸い込む音とともにギターがかきむしる。「虹を作ってた、手を伸ばしたら消えてった/ブリキのジョウロをぶら下げて立ち尽くした昼下がり」そんな風なマイナスな感情からストーリーがはじまる。何度も何度も虹に触れたくて作り続けた少年時代。大人になっても実はその思いを忘れちゃいないんだろう?そんな問いかけが前半で歌われる。その花の色も位置も知っているくせに、どこかに置いてきた。だけど揺れ続けながらも決して折れる事のない名前も忘れかけられている白い花、僕らの信念。バンプお得意のストーリー、いったん落ちた所からの再生復活が描かれる。ブリキのジョウロが涙で満ちてった時、枯れたはずの花はまた小さな芽を出している。「自分の価値が今生まれた/枯れても枯れない花が咲く/僕の中に深く根を張る」ここが最も盛り上がりを見せるところだ、まさに再生復活。
今回最も重要な所は最も落ちた所で天の声のように響き渡る「まだ!」というところ、この曲の全てが集約された魂の叫び。これだけでこの曲が成立したといっても過言じゃないと思った。すごく重要ないろんな意味を含んだ「まだ!」、これ聴き所です。
『天体観測』ほどのドラマチックな展開はない、だがあれほどテンパッてはいない。ジリジリと感情を吐き出し疾走する、結果ラストには上に上がっているという感じ。でも何度も聞くとこの曲が淡々と作られたものではなく難産だったんだろうと思う部分はたくさん感じた。音楽的にもあの焦ってドタドタとボーカルにくっ付いて行ったリズム隊は今回はいない。明らかにビートとグルーブで楽曲を引っ張り始めている。『天体観測』ブレイクによる自信がみなぎっている。もう2・3年もすれば詞世界に楽曲が追いついて、追い抜いてしまう時が来るのかもしれない。ある意味その時が楽しみだなぁと思う。まぁそれまではこの圧倒的なメッセージが世の中に響きつづけるんだろう。
なるほど、今回『ハルジオン』では「いえぇ〜ぃ!」は無しなんだね。でもC/W『彼女と星の椅子』では健在だった、やっぱりこれいいね。この曲も佳曲ですね。今彼らはアルバム作成の終盤にいるそうです、ってまだできてないんだね。ただ来年には発売されるであろうこのアルバムはブルーハーツの一枚目ぐらいの地殻変動を起こせるかも、って期待してもいいんじゃないの?
「ほらここに揺れる白い花/僕は気付かなかった忘れかけていた名前/僕の中で揺れるなら/折れることなく揺れる/揺ぎない信念だろう」 『ハルジオン』より