第4回
みなさん、どうやら歌詞に関してはどうでもいいという意見もあるので、このバンドを紹介してもいいんじゃないでしょうか。強烈な音楽強度とスピードと美メロで突っ走るバンド、今回紹介するのはpre-schoolです。プリスクールと読みます。
もう知っている人も多いかな、大学の頃からの僕のお気に入りですから。局長なんてライブビデオ見なかったっけ?彼らは今も絶好調です、まぁざっとこのバンドの概要から。元々は英国のビッグバンド『blur』に強烈な感銘を受けたメンバーが集り、同じような音を出すバンドとしてのデビュー。それはもうモノマネと言われても仕方のないぐらいのリスペクトぶり。blurはブリットポップ全盛の渦中にいました。まぁ日本でもこの手のバンドが出てきてもおかしくない状況で、当然のように出てきたバンドと言えます。歌詞は全て英語、その内容は日本人離れした過激さがあり、これが日本語でも日本の音楽業界に受け入れられる事はありえなかったでしょうが。音は前述のとおりブリットポップの影響が色濃く出たモノに、彼ら特有のスピード感で味付けをしたような感じ。こんなかっこいいバンドが人気が出ないはずもなく、当然のようにメジャーデビュー。1stアルバム『peace pact』は彼らのスピードとポップ感が圧倒的なパワーアップを果たしたものになった。もう文句のつけようがないほど完璧なメロディーセンスによって着々と人気を上げていき何も問題がないように思えた、ある一つを除いては完璧だった。このバンドのボーカルはとても正確に言葉をメロディーに乗せていった。ライブでもまったく音の乱れはなく、英語の歌詞も完璧に唄いきる。しかし…。
その圧倒的な強度のみを誇る歌声には感情がなく、フロントマンとしての苦悩と共に完全にバンド内でも孤立していたのである。曲を書くのはベースの古平であり、詞を書くのはキーボードのエコ、さらには英詞。音作りにも参加せずという状況。いつしかこのバンドは、フロントマンがまったく言葉をもたないバンドとなっていた。そんな中でもスピードと強度のみのポップソングは世に出し続けられ、2ndアルバム『(non title)』が発売された。しかしこのアルバムでボーカル大和田晃(通称バクちゃん)が少しだけ顔を出し始めていたのである。明らかにイラついているのであるが、彼が少しづつ自分を表現しはじめていた。フロントマンの復活により他のメンバーも力を発揮しはじめる。ギターもドラムもベースも、このバンドのフロントマンに呼応するようにハジケた、そう彼らはこの復活を待っていたのだ。そして全てが上手く転がり始めるはずだった。しかし…。
そんなバンドが勢いを持ち始め注目されることにより、その過激さを誇った英詞にも注目が集まり始めた。あまりにも個人的でナイーブな歌詞は、それまで英語という防壁によってあまり取り沙汰されることはなかった。しかし人気が出はじめいろいろな音楽メディアからの詮索、ファンに与える大きな誤解、これらは詞を書いているエコにとっては大きな重圧となったのである。当然このことでバンドはまたもや空中分解とまで言われ、その存在はギリギリのバランスで保たれていた。しかし…。
彼らはまたも復活を果たした。他のバンドメンバーは奮起しバンドとして大きな変革を遂げる事に成功したのだ。single『depends』、『temple at the back』は彼らの新境地。ミドルテンポのどっしりとしたサウンド、うねるグルーブにのるお得意の美メロ。スピードにまかせて突っ走った思春期の彼らは息を潜め、バンドとして大きく成長をしている事が分かる。(このころ皮肉にも英国でもblurが大きく変革を遂げていたのだが)
そして3rdアルバム『this album』はそんな新しい彼らがあらゆる音楽的志向を凝らした実験作のような仕上がりとなった。別に聞きにくいとかそういうんじゃなくて、その本質は変わってない。すこしだけbpmを落として愛すべき音楽を模索し、それが結実し、未来へも広がっている、そんな作品だと思う。このアルバムは売れなかった、売れないと予想できた。しかしこのアルバムはまぎれもなく彼らの最高傑作だった。
こんなバンド、実は日本にはそんなにいないんじゃないか。目指すところも、目指す音楽もまったく違ってしまった5人が、プリスクールと言う運命に導かれこんなにも光り輝く音を出せるのだ。最初はどこにでもいるギターバンドだった彼らが、あらゆる波乱を乗り越え、成長を遂げ、音楽業界という腐ったシステムにイラつきながら、自分達に正直にここまでやってきた。そしていつの間にか唯一無二の愛すべきバンドとして、さらに突き進んでいく、それだけでもうたまらない。
つい先日インディーズから最新アルバム『Nueva york』(ヌエバヨルク:スペイン語でニューヨーク)が出ました。何故にインディーズか、別にメジャー契約が切れたわけではなく、一度レコード会社の手を離れ自分達だけのやりかたで納得のいくようにやってみようと言う事らしいです、もちろんセルフプロデュース。現在の彼らの立ち位置が明確に現れている傑作。3rdアルバムでの変革がバンドをここまでのモノに成長させた。bpm少し高め、3rdの圧倒的スケール感、2ndの圧倒的強度を誇る轟音サウンド、1stの圧倒的スピード感、インディーズの頃の圧倒的ポップ感、全てが圧倒的に結実している。要するに、このバンドがアルバムごとに見せる成長は普通じゃないんだってこと。こんなバンドは売れないかもしれないが、すごくかっこいいってこと。そして音楽に対するこういうスタンスはとてもエネルギーがいる、自分の身を削り続けることなんだってこと。今回言いたいのはそういうことなんです。今売れているバンドの中に、どれだけそんな奴らがいる?ポルノグラフィティーってなんなんだってことよ!
ざぁっと流れを伝えるはずが、今回はこのバンドの歴史だけで終わってしまいました。それだけ中身の濃いバンドであると言う事ですが。まぁこんな回があってもいいよね、。これからもここではいろんな事を書いていこうと思っています。みんなついて来てねぇ〜、そんで少しでもこれらの音楽に興味を持ってくれたらこれ幸いです。基本的にここに書く音楽はみんなにも気にいってもらえるであろう音楽を吟味して書いているので、あまり難しく考えずに、聞く機会があれば聞いてみてね。
[no one's faith in you is as fair as that it ain't ever sane](誰も君のことなんか信じてなくて それは正常な事じゃなくて そして正しい)from 2nd album #4『LINES』["recline" is the word / that can always stay in your mind and you look for/ the very last thing at night](”寄りかかる”と言うのは一つの方法で いつでも頭にあっていいけれど 一番最後に探し出すものだ)from 3rd album #3『depends』