第9回

活動休止直前、イエローモンキーの最後の肩すかしは「プライマル」だった。
それまでの流れとはかけ離れたストレートな歌詞、アッパーでポジティブなメロディー、
何処までも英雄的なアルトサックスの高鳴り。
またも真意が見えない、だけど僕の中ではOKな最高の「また会おうね」だ。
ボクがイエローモンキーを聴き始めたのは『LOVE COMMUNICATION』あたりで、
それほど聞かなくなってしまったのは、おそらく『JAM』の頃からではなかっただろうか。
だからはっきりいって短いです。体験してません。おそらく90年代Jロックファンにとっては
重要であったであろうバンドを、ボクは実際体験しなかったといっていい。その波にはあえて乗らなかった。
たくさんの人たちが彼らを必要としたように、僕が必要としたバンドは他にあった。
彼らは必要なかった、それだけだ。
(なんか『JAM』で冷めたよやっぱり、すごい寒かった、ボクにとっては)
別に批判する事は無い。ただボクにとってあまりにも自意識過剰で、グラムロックと歌謡曲を
混ぜて味の悪いネガティブエキス+エゴを入れた音楽には馴染めなかったってだけだ。
彼らがイギリスでライブをしたときのMCを何かで読んだ。
「We are Japanese NO.1 Rock'nroll BAND!!」
この発言に吐き気がした。彼らの真意は、何を思ってそういったのか、詳しい事は当然知る由も無いが、
明らかにマイノリティーで、孤独を売りにして、芸能に身を売った人間達が何を言っているのか。
まぁ、悪態をつくのはここらでやめておいて…、活動休止前のイエモンはどうにもならなかったと思う。
(あれ誉めらんねぇ、まぁいいか)
スピッツは自分達のルーツに立ち返り、そのバンド感・パンク精神を取り戻す事に成功しつつある。
奥田民生は、自分のやり方でとんでもない才能を見せ付け、新しい事をするでもなく、全てその力でねじ伏せた。
エレカシはどっちつかずで我を見失い、あらゆる失敗を繰り返しボロボロだ(奴等こそ何がしたいんだ??)。
この世代のアーティストはあらゆる戦いを続けている。
ジュディマリもブランキーも最高の終わり方をしたと個人的には思っている。
イエローモンキーは…、そう、彼らも試行錯誤を繰り返していたと思う。
いろんなプロデューサーと絡み、セルフプロデュースしてみたり。
たぶん僕の中では失敗してたと思っている。バラ色の日々、ダサいもん。
(1番好きではないのは「球根」だけどね、「パンチドランカー」も嫌い、平然とパクレてるから)
もっといい音楽あるんだけどなぁ、って思うだけだった。
最後のシングルになるであろうと思っていた「ブリリアントワールド」。
予想通りだと思った、やっぱり必要なかったと思った。「何でそんなに面白くないんだ?」と思った。
ぜんぜん伝わってこないんだもの。いくら感動的なアレンジですよって見せ付けられても、冷めてくるんだもの。
これが最後じゃなくてよかったと思う。これで終わってたら次復活しても、また必要としなかったと思う。
そんで「プライマル」。多分たくさんの期待は裏切られ、たくさんの期待の上を行った曲だった。
カップリングは相変わらずだけれども、表題曲ではこういう肩すかしが彼らの本質なんだって気付かされたもの。
聞く人たち一人一人の期待を背負い、それを吉井のフィルターを通して歌謡ロックへと変換してきた
イエモン。「必要」によって鳴らされる古典ロックの典型だと思う。彼らもそれを否定しないし、
それを絶妙に引き受けてきたと思う。その自意識過剰っぷりが嫌だったのだが、「絶妙に」ということが
彼らの彼らたる所以かもしれない。その駆け引きの上手さは吉井の才能かもしれない。
そして最後にこんな肩すかし、そんな意地悪モードが垣間見られる曲だ。
「ベリーグッドだいぶイケそうだ/振り切ったら飛べそうじゃん」なんて恥かしげでストレートな歌詞が
突き抜けるようなメロディーに乗っかる。
吹っ切れたのか、ヤケなのか、開き直りか、どうにも分からない。どうとでも取れる。
でもすごく次の曲、アルバムが聴きたくなる。おもしろい。
別に新しいとは思わない、今までのイエモンでもやってきたような事なのかもしれないけど、
このタイミングで出してくるなんてのが絶妙だわ。カラオケでも歌おうか?なんて気にもなるね。
活動休止直前で割と僕の中では株が上がった、まぁでも帰ってきても同じことやってるような気が
しないではないけど、ちょっと楽しみだな。
”雪のような深爪の朝を身にまとい/暖かな優しさほど罪と知った 名言!!”
”VERY GOOD だいぶイケそうだ/旅立ったら消せそうじゃん/
 今度は何を歌おうか?/卒業おめでとう ブラブラブラ…/
 手を振った君がなんか/大人になってしまうんだ/さようなら/きっと好きだった” 「プライマル」より
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